みなさまこんばんは。
今回は以下の記事の続きになります。
前回のおさらい
前回は「固定比率」と「固定長期適合率」についてお話し致しました。

固定比率:固定資産÷純資産×100%
→固定資産(工場とか土地)を自己資本でどれだけ賄えているかを示す指標
固定長期適合率:固定資産÷(固定負債+純資産)×100%
→固定負債も自己資本の一部と考えて、どれだけ賄えているかを示す指標
業界平均にもよるけど、固定比率は100%を超えても大丈夫な場合があるということと、固定長期適合率が100%超えているのはよくない兆候、というお話しでしたね。
財務の健全性を測るにはこれに加えて、「突然の出費に耐えうるか」ということまで見なければなりません。
企業の取引でのお金の動き方(決済)
まずは企業が取引をする際にどのように金銭の授受を行なっているかとまとめたいと思います。
- 売掛金と買掛金
- 現金・預金
- 手形(裏書手形も含む)
まず1つ目は売掛金と買掛金です。
これはあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、単なるツケ払いのようなものです。
企業間の取引は1万円で済むこともあれば1億円なんて余裕で超えるような取引まであります。
1万円くらいなら手元にある現金で支払うことができるかもしれませんが、1億円を普通の買い物みたいに持ち歩いて取引するなんてちょっと現実的ではないですよね?
そこで、契約を結ぶ際に
「納入してから1ヶ月後に口座に振り込んでね」
「検収終わって15日後から起算して3ヶ月後に期日が到来する約束手形で払うね」
なんて取り決めるわけです。
もし約束を破ればすぐに情報が広まりますので、約束を守らなかった企業は他の企業から相手にしてもらえなくなって商売ができなくなります。
だから基本的にはきっちり支払われます。
この際にツケ払いではなく、「売掛金」「買掛金」なんて言葉を使うわけです。
売った時が「売掛金」、買った時が「買掛金」です。
2つ目は現金と預金。これは言うまでもないですね。
3つ目は約束手形です。
これは人生ゲームをしたことがある方には聞き覚えがあるかもしれません。
文字通り「お金を決められた期日に支払う約束」をした紙のことです。
この紙は銀行を通して発行されます。しかも拘束力がめっちゃ強いです。
最悪「買掛金」とかは逃げてしまえばなんとでもなりますが、約束手形をきっちり払えないと銀行からマークされます。
そして半年で2回約束手形を払えなければ「銀行取引停止」になります。
多くの企業は、事業を拡大するために銀行からお金を借りています。
例えば1,000万円借りていたとして、「毎年100万円ずつの返済で良いよ〜」と言われていたのに、銀行取引停止になった場合は、その時点で借りているお金を全て返済しろと言われます。
お金が自分の資金だけじゃ足りないから借りているのに返せるわけがありませんよね。
つまりほぼ確実に倒産と言う道を辿ることになります。
ここで本題

さて、ここで突然ですが本題に入ります。
もし5,000万円分商品を売ったとして、売った相手が上記のように銀行取引停止となり、倒産してしまったらどうしましょう。
全額回収できるなんてことはほとんどありません。
でもその5,000万円分の商品をどこかから買い付けないと売れないですよね。
つまり「お金は回収できないのに、支払いだけは残っている」と言う状況になります。
これが前述の「突然の出費に耐えうるか」と言うことに関係してきます。
※蛇足ですが、倒産した会社からお金を回収できなくて、仕入れ先に支払いができなくなって倒産してしまうことを「連鎖倒産」と言います。
突然の出費が発生した時にとりあえずお金を作らなくてはなりません。
その余力があるかどうかを示し指標が「流動比率」です。
以下の記事で流動資産および流動負債についてお話ししましたが、
流動資産は、「一年以内に現金化できる資産」つまり現金そのものや預金に加えて、売る予定の商品や売掛金、約束手形(もらったやつ)などが含まれます。
反対に流動負債は「一年以内に支払わなければならない負債」、つまり一年以内に返済しないといけない借入金、買掛金、約束手形(あげたやつ)などが含まれます。
流動比率 = 流動資産÷流動負債
これで求めることができます。
目安は200%ですが、結構厳しい基準なので150%、最低でも100%を超えていれば常態であると言えます。
計算式からもわかる通り、流動比率とは「流動負債に対する流動資産の割合」です。
一年以内に支払うお金より、入ってくるお金が多い方が当然良いですよね?
もし突然の出費が発生した時にお金を支払うことができるのはこの流動資産からなのです。
だから経営体力を測るためには、流動比率にも着目しなければなりません。